味噌は毎日の食卓に欠かせない、日本人のふるさとの味ですね。毎日味噌汁を飲む人も多いでしょう。
味噌汁などを作るとき味噌は最後に溶くので、在庫がなくなっているときには焦ります。もうほかのおかずも出来上がっているなら、代用品で味を付けてすぐに食べたいですね。
この記事では、味噌汁を作るときの味噌の代用品や、味噌汁以外の料理に使う味噌の代用、海外の味噌を日本の味噌で代用できるかを解説します。
味噌汁と相性のいい味噌の代用品
味噌は大豆たんぱく質のほか、ビタミンやミネラルが発酵によって体に吸収されやすい形に分解されて含まれています。大豆の食物繊維も豊富で、毎日の食事で体に摂り入れたい食品です。
味噌汁を作るときに味噌が無かったら困りますね。まずは味噌汁に使う味噌の代用が出来る食品があるのか、組み合わせるとどうかを見ていきましょう。
【醤油+きなこ】はびっくりの再現率!
醤油などの代用調味料ときなこを混ぜた「なんちゃって味噌」で作った味噌汁は、かなり味噌の風味を再現しているとネットで評判になっています。
【材料】作りやすい量
・醤油:大さじ1杯
・酒:大さじ1杯
・みりん:大さじ1杯
・塩:少々
・だし:小さじ1/2
・きなこ:大さじ1~2杯
【作り方】
1.きなこ以外の材料を混ぜます。
2.きなこを少しずつ混ぜます。お好みの固さになったら完成です。
【ポイント】
塩分量は少なめに設定しているので、お好みで追加して味の調整をしてください。
【醤油+豆乳】はあっさりした味
味噌の代用には、同じ大豆から作られた豆乳も使えます。醤油大さじ1杯に豆乳50~100mlを目安に、お好みの量の豆乳で調整して市販のだしを入れてください。
豆腐は豆乳をにがりで固めたものですので、豆乳と同じように豆腐も代用に使えます。
木綿豆腐よりも絹ごし豆腐の方が、なめらかにできておすすめですよ。醤油大さじ1杯に豆腐は50~70gを目安として、しっかりとすりつぶして入れましょう。
味噌が足りないときは?
味噌が残り少なくて、味噌汁の味付けにちょっと足りないときってありますね。味噌が足りないときの「チョイ足し調味料」のおすすめはやはり醤油が一番です。その他のおすすめ調味料は以下の通りです。
・めんつゆ
・市販の出汁
・塩
・中華や洋風のスープの素
めんつゆには砂糖やみりんなどが入っているので、少し甘くなります。市販の出汁には塩分が入っているので、入れ過ぎには注意してくださいね。
意外に使えるのが中華や洋風のスープの素です。中華風や洋風の味噌汁になりますが、いつもと少し違ったお味噌汁も意外と楽しいかもしれませんよ。
各種の味噌料理と相性のよい代用品
日本に流通する味噌は4割が信州味噌と言われ、一般的な味噌というと甘味が少なく塩味が多めの信州味噌のことを言います。そのほか京都の西京味噌や九州の麦味噌は甘い味、名古屋の八丁味噌は酸味やうまみが強い味です。
※ご当地味噌については、こちらの記事も参考にしてください。
味噌汁の他にも味噌を使った料理は、さまざまな種類があります。ここからは日本でよく作られる料理に使う、味噌の代用品を見ていきましょう。
寒い季節に食べたくなる【豚汁】
味噌を買い忘れた場合ももちろんですが、豚汁は一度にたくさん作ることが多いので味噌が足りなくなることもありがち。
味噌汁の代用品のところでご紹介をした「なんちゃって味噌」を使うことも出来ますが、味噌が少なかったなど豚汁の味にコクや深みが足りないときには「辛味」を足してみましょう。
おすすめは「豆板醤」を少し入れることです。豆板醤は辛いので、少しずつ味見をしながら入れてくださいね。辛みが苦手な人は、めんつゆなどでだしと甘味を足すと、味に深みが増しますよ。
野菜がたっぷり【回鍋肉】
回鍋肉(ホイコーロー)は炒めた野菜や肉を、甜麵醬(テンメンジャン)や豆板醤(トウバンジャン)などで味付けした中華料理です。ご家庭ではレトルトの「回鍋肉の素」を使うことが多いですね。
甜麵醬や豆板醤がなくても、先ほどご紹介をした「なんちゃって味噌」にみりんや砂糖、しょうゆを入れることで代用ができます。また、焼き肉のたれに少し醤油を強めにした「なんちゃって味噌」を少し足す方法もあります。
韓国料理【サムギョプサル】
「サムギョプサル」はまだ聞きなれない人もいるかもしれません。韓流ドラマの影響で日本でも韓国料理を出すお店が増え、サムギョプサルの人気が徐々に広まっています。
サムギョプサルは豚の三枚肉を焼き、葉物野菜(サンチュなど)に肉と「サムジャン」と呼ばれる味噌ダレを付けて包んで食べます。
サムジャンは韓国味噌(テンジャン)やコチュジャンなどで作られていますが、「なんちゃって味噌」でも代用できます。
【材料】作りやすい分量
・なんちゃって味噌:大さじ3杯
・砂糖:大さじ1杯
・酒:大さじ1/2杯
・醤油:小さじ1杯
・一味唐辛子:小さじ1/2杯
・ごま油:大さじ1/2杯
・すりごま:小さじ1杯
・おろしにんにく:1かけ
・長ネギみじん切り:適量
上記の材料をよく混ぜ合わせたら完成です。唐辛子の量が少なめのレシピなので、辛い味がお好みの方は一味唐辛子を追加してください。
上品な味【西京漬け】
「西京漬け」は京都などで作られる「西京味噌」にみりんや酒でを混ぜ、魚の切り身などを漬け込んだものです。西京漬けを焼くと「西京焼き」になります。
西京漬けに使う西京味噌は、家にある普通の味噌で代用できます。味噌と砂糖やみりん、酒を2:1:1:1の割合で混ぜるとOK。お好みで甘さを調整したり、塩や醤油を少量加えたりして自分好みの味にしてください。
味噌を使った郷土料理と相性のいい代用品は?
味噌は日本各地でさまざまな種類が作られ、各地に独自の色や味の味噌が存在します。地域で親しまれている味噌を使った郷土料理は代用調味料でも作れるのでしょうか。
ここからは代表的な郷土料理に使う味噌の代用方法について見ていきましょう。
北海道【ちゃんちゃん焼き】
北海道で味噌を使った代表的な料理と言えば、「ちゃんちゃん焼き」が有名です。ちゃんちゃん焼きは、漁師町など新鮮な魚が豊富に獲れる地域で親しまれている料理です。
筆者は生まれも育ちも札幌だったためか、大人になってテレビの情報番組で見るまではちゃんちゃん焼きの存在を知りませんでした。北海道は広いですね。
ちゃんちゃん焼きは味噌仕立てがポピュラーですが、醤油にバターとマヨネーズを混ぜることで代用ができます。味噌仕立てよりもあっさりとした味になりますよ。
山梨【ほうとう】
「ほうとう」は季節の野菜と小麦粉を練って作った太麺を、味噌仕立ての汁で煮込んだ山梨県の郷土料理です。ほうとうに使う麺は幅が広く、見た目は「きしめん」に似ています。
ほうとうに使う味噌は「甲州味噌」が一般的です。甲州味噌の特徴は米麹と麦麹を両方使っていることで、米麹のさっぱりした味に麦麹の甘味が加わったまろやかな味です。
ほうとうの味噌は、醤油と砂糖またはみりん、豆乳を入れることで代用ができます。めんつゆと豆乳でも代用可能です。
名古屋【味噌おでん】
「味噌おでん」は名古屋名物として情報番組でも取り上げられているので、知らない人はあまりいないかもしれません。
味噌おでんは「八丁味噌」などの豆味噌をベースにした甘い汁で具を煮込んだ、名古屋の冬の郷土料理です。
味噌おでんに使う八丁味噌は、「甜麵醬」で代用できます。ご自宅に常備している一般的な味噌で代用するには、味噌に醤油や塩、みりんを足すと似たような味になりますよ(味噌もない場合には「なんちゃって味噌」で代用してください)。
また味噌にとんかつソースをほんの少々足すと、色と酸味が加えられて八丁味噌っぽい味に仕上がります。
海外の味噌は日本の味噌で代用できる?
味噌の起源は古代の中国で作られていた「醤(ひしお)」と呼ばれる、大豆を塩で漬けた食べ物だったと言われています。
味噌が日本に渡来した時期は、はっきり分かっていません。中国、または中国から朝鮮を経由して伝わったと言われています。
中華料理や韓国料理に使われる海外の味噌は、自宅にある調味料で代用できるのでしょうか。ここからは日本で使われる、代表的な海外の味噌の代用方法を見ていきましょう。
中国その1【豆板醤】
「豆板醤」は中華料理に使う、辛味と塩味の強い味噌です。そら豆に大豆やごま油、唐辛子の塩漬けなどを加えて発酵させて作られます。麻婆豆腐や坦々スープなど、四川料理にはおなじみの中華料理の定番味噌ですね。
豆板醤には韓国料理でおなじみの「コチュジャン」が、豆板醤に見た目も味も似ており代用として使えます。日本の味噌で代用するなら、味噌と醤油、一味唐辛子を混ぜると似た味になります。
中国その2【甜麵醬】
「甜麵醬」も中華料理ではおなじみの、黒い見た目の甘味とコクのある味噌です。回鍋肉や北京ダック、ジャージャー麺などの北京料理で使われる、中華料理の定番調味料です。
甜麵醬をご家庭にある調味料で代用するなら、一番簡単な方法は味噌と砂糖を混ぜることです。
少し手を加えて、味噌と醤油、砂糖(みりん)にごま油を少々足すとさらに似た味になります。八丁味噌が手に入るなら、八丁味噌に醤油と砂糖を使うとかなり再現率が高くなりますよ。
中国その3【トウチジャン】
「トウチジャン」はあまり耳慣れない人もいるかもしれませんが、強い塩味と独特のうまみのある中華料理には欠かせない調味料です。
トウチジャンは黒豆に塩や麹を加えて発酵させたものに、醤油や砂糖、ニンニクなどを入れ、油に漬け込んだペースト状の食品。少量入れることで、味に深みとうまみを生み出します。
トウチジャンの代用には、市販の味噌やたまり醤油などが使えます。塩麹と濃口醤油を混ぜるとかなり近い味になりますよ。
韓国味噌その1【テンジャン】
「テンジャン」もまだ耳慣れない名前の調味料ですね。「甜麵醬」に名前が似ているので混同している人もいるかもしれませんが、テンジャンは韓国の味噌です。
味は日本の味噌に似ていますが、納豆のような匂いがして煮れば煮るほど香りが立つのが特徴。テンジャンチゲやサムギョプサルに使われる味噌です。
テンジャンの代用には、甜麵醬や八丁味噌などが使えます。一般的な味噌を使うときは醤油や砂糖などを加えたり、納豆を細かくしたものを足したりすると味や香りが近くなりますよ。
韓国味噌その2【コチュジャン】
「コチュジャン」も韓国の味噌で、豆板醤に見た目も味も似ています。コチュジャンは味噌の一種ですが、豆を使っていないのが特徴です。
米やもち米を麹で糖化させ、唐辛子を加えて熟成させた甘味と辛味のある調味料です。ビビンバやチゲ鍋のほか、炒め物やスープなど幅広い使い道があります。
コチュジャンの代用は豆板醤に甜麵醬を混ぜるのが簡単です。市販の味噌を使う時には、味噌と醤油、砂糖に一味唐辛子を混ぜると近い味わいになります。
味噌の複雑な味の代用は意外と難しい
味噌は甘味、塩味、酸味、うまみなど、複雑な味が混ざり合った食品です。味噌の深い味わいを代用品で出すのは意外と難しく、似た味になってもコクなどはやはり本物のようにはなりません。
とはいえ代用の味噌の作り方を覚えておくと、すぐ食べたいときにお店に買いに走らなくていいので便利です。
海外の味噌などは常備していないご家庭も多いので、日本の味噌で代用していろいろな料理を楽しんでくださいね。