黒糖焼酎の『里の曙』は、楽天やyahooショッピングの売れ筋ランキングの上位にランクしていて、「飲みやくておいしい!」と評判の黒糖焼酎です。
若者や女性にも人気が高いという黒糖焼酎『里の曙』とはどのような特徴があるのでしょうか。
この記事では、黒糖焼酎『里の曙』の特徴やこだわり、そしておすすめの飲み方などを、全部まとめてご紹介します。
目次
黒糖焼酎『里の曙』を造る「町田酒造」のこだわりとは?
黒糖焼酎『里の曙』の製造元である町田酒造は、黒糖焼酎の酒蔵のなかでも新鋭の酒造会社です。まずは、町田酒造についてご紹介します。
町田酒造とは?
町田酒造の創業は1991年(平成3年)。奄美群島で黒糖焼酎を製造している26の製造会社のなかでは、2番目に新しい会社です。
奄美大島の旧住用(すみよう)村(現住用町)にあった石原酒造から製造免許の譲渡を受け、龍郷町に製造工場を新設したのが始まりです。
新設された工場は、自動化の進んだ最新設備をそろえた大きな工場で、工場の裏手には42基の巨大な貯蔵タンクが並んでいます。
工場内には13トンの仕込みタンクが27基あり、『里の曙』をはじめ、1回の仕込みで製造できる黒糖焼酎の原酒は7500リットルだそうです。
酒造りには職人の魂が欠かせない!
「最新の設備をそろえた工場では、マニュアルを覚えさえすれば焼酎造りの作業はできる。しかし、『里の曙』などの黒糖焼酎を造るには、造り手の思いが必要だ」と、開発本部長で杜氏の長谷場洋一郎氏は言います。
「酒に魂を入れる職人・蔵人であってほしい」という思いを込めて、若い職人を育てているそうです。
その一貫として、2017年より始めた新たな取り組みが、原料となるサトウキビや米を自分たちの手で育てること。「キビを作らずして黒糖焼酎を語るなかれ」というのが、杜氏の長谷場氏の持つ信念です。
「自分たちの手で育てて初めて原料の本質を知ることができる、それが本当の意味の生産である」という信念を持って、日々、黒糖焼酎造りに取り組んでいます。
伝統と技と新しい挑戦との融合
酒税法により、黒糖焼酎は奄美群島にある酒蔵でしか造ることができないという決まりがあります。黒糖焼酎は、地元の奄美地方では当たり前の存在ですが、全国的にはまだまだ知名度が低いのが現状です。
しかし、裏を返せば、まだまだ研究されていない未知の部分が多くあり、大きな可能性を秘めているとも言えます。
町田酒造では、昔ながらの黒糖焼酎造りの技や造り手の思いを継承しつつ、町田酒造ならではの新しい技法を取り入れた黒糖焼酎造りに挑戦し続けています。
また、蒸留後に残った蒸留粕を飼料や炭への加工する作業や、工場で使用した水の浄化を工場内で行うなど、奄美の自然を守る取り組みも積極的に行っています。
黒糖焼酎『里の曙』の特徴とこだわりとは?
町田酒造の代表銘柄である『里の曙』も、黒糖焼酎造りの伝統と新しい技術の融合によって誕生した革新的な黒糖焼酎と言えます。『里の曙』にはどのような特徴があるのでしょうか?
コンセプトは「女性にも飲みやすい黒糖焼酎」
町田酒造の最初の商品であり、代表銘柄である『里の曙』は、焼酎研究の第一人者として名高い、故・蟹江松雄氏(元鹿児島大学学長)とともに開発した商品です。
それまでの黒糖焼酎は、黒糖本来の風味をしっかりと出すために、常圧蒸留法という昔ながらの方法で蒸留を行っていました。
そのため、黒糖焼酎は、重厚でクセや個性が強く、晩酌用として男性が好んで飲むお酒というイメージがありました。
町田酒造では、このような黒糖焼酎に対するイメージを払拭するために、女性に好まれるような飲みやすい黒糖焼酎を造る、ということをコンセプトとして、新しい黒糖焼酎造りに取り組んだのです。
黒糖焼酎界の革新的な存在
女性に好まれる飲みやすい黒糖焼酎を造るために、町田酒造は2つの新しい挑戦に取り組みました。
ひとつは、黒糖焼酎では30度が主流だったアルコール度数を、より軽い飲み口にするために25度にすること。そして、もうひとつが、減圧蒸留法を採用することでした。
減圧蒸留は圧力を下げて蒸留する方法です。圧力を下げるとアルコールの沸点が下がるため、沸点の高い成分が混ざりにくくなります。そのため、クセの少ないスッキリとした焼酎となるのです。
芋焼酎などの他の焼酎では既に取り入れられ始めていた蒸留方法ですが、黒糖焼酎ではまだ前例はありませんでした。町田酒造では飲みやすい黒糖焼酎を造るために、黒糖焼酎業界で初めて減圧蒸留を取り入れたのです。
黒糖焼酎らしさも大切に!
新しい方法を取り入れることで飲みやすい焼酎になったとしても、黒糖焼酎らしさまで消えてしまえば意味がありません。
町田酒造では、仕込む黒糖の量を増やすことで、飲みやすさのなかにも黒糖焼酎本来の風味をしっかりと残すことに成功しました。
一般的な黒糖焼酎の場合、仕込む黒糖の量は米麹の1.2~2.0倍くらいであるのに対し、町田酒造では、米麹の2.5倍の黒糖を仕込んでいるそうです。
また、一般的な黒糖焼酎は蒸留後に数ヶ月ほどタンクなどで貯蔵・熟成させ、味をなじませてから出荷します。それに対し、『里の曙』は最低3年間貯蔵・熟成させているのも大きな特徴のひとつです。
長期間、貯蔵・熟成することで、より一層まろやかで深みのある黒糖焼酎になります。
『里の曙』により女性の黒糖焼酎ファンが拡大
試行錯誤の商品開発の結果、『里の曙』はその名が示す通り、黒糖焼酎の里の新しい夜明けを彷彿させるような、革新的な黒糖焼酎として誕生しました。
スッキリと飲みやすく、まろやかな風味のなかにも、黒糖の香りをしっかりと感じられる『里の曙』は、「飲みやすい!」と評判になり、「黒糖焼酎=オヤジの酒」というイメージを一新しました。
また、「『里の曙』はオン・ザ・ロックが合う!」と売り出したことにより、それまでお湯割りが定番だった黒糖焼酎の飲み方にも、新しい風を吹き込んだのです。
その結果、女性や若者の間で黒糖ファンが増え、それまではウイスキーが主流だったスナックでも『里の曙』を置くようになったと言います。
『里の曙』(25度)の口コミとおすすめの飲み方
『里の曙』は、減圧蒸留を取り入れてスッキリと飲みやすい黒糖焼酎になったことで、地元の奄美地方を中心に女性や若者の黒糖ファンが増えていきました。
そして、創業からわずか10年で多くの人に認知されるようになりました。では、実際に『里の曙』を飲んだ人はどのような感想を持っているのでしょうか。
実際に飲んだ人の感想は?
SNSやオンラインショップの口コミを見ていると、「飲みやすい」や「スッキリしている」といった感想が目立ちます。
・初めてだけど飲みやすくておいしい。クリアで飲みやすい
・上品な甘さで、クセがなくて飲みやすい
・水割りにしても、ほとんど水がいらないくらい飲みやすい。黒糖の香りがいい感じ
・それほどクセがないので、焼酎を飲めない人でもあっさり飲める。辛口の日本酒より飲みやすいかもしれない
・最初からスッキリとした味わいで、黒糖がしっかり来る
・スッキリとした軽やかな口当たりと素朴な甘い香りで初心者にもおすすめ
・雑味がなくて程よい甘みでスッキリ飲めた
・3年熟成のせいか、とてもまろやか
・ほんのりと優しい黒糖の香りで、まろやかな口あたり
町田酒造の当初の狙いどおりに、女性や若者の評判が上々のようですね。
おすすめの飲み方は「奄美ハナハナハイボール」!
黒糖焼酎『里の曙』はまろやかでスッキリとした口当たりなので、どのような飲み方でも良く合いますが、町田酒造が推奨している飲み方に「奄美ハナハナハイボール」(※)があります。
「奄美ハナハナハイボール」とは、『里の曙』の炭酸割りのこと。奄美大島では、乾杯の時に「お疲れさま、良かったよ」という気持ちを込めて、「ハナハナ!」と言って杯を交わすことにちなんで名付けたそうです。
町田酒造によると、
長期熟成による黒糖由来の優しい香りとほのかな甘みは炭酸割りとの相性抜群!炭酸割りがびっくりするほど美味しくいただけます。
とのこと。柑橘系の風味がよく合うので、レモンを搾ったりレモン風味のソーダで割ったりするのもおすすめです。
※「奄美ハナハナハイボール」は、町田酒造の登録商標です。
黒糖焼酎『里の曙』のラインアップとおすすめの飲み方
黒糖焼酎『里の曙』のシリーズには、25度の定番の他にもいろいろな種類が存在します。ここからは、『里の曙』のラインアップをご紹介します。
里の曙 黒麹仕込(25度)
定番の『里の曙』は白麹で仕込んでいるのに対し、『里の曙 黒麹仕込』は黒麹で仕込んだ黒糖焼酎です。
麹菌には、白麹、黄麹、黒麹があり、焼酎に使われている麹は主に白麹と黒麹です。沖縄の泡盛は黒麹のみが使われています。
白麹で仕込むと、軽快でスッキリとしたキレがあり、マイルドな口当たりの黒糖焼酎になります。
一方、黒麹で仕込んだ黒糖焼酎は、重厚でどっしりとした口当たりと黒麹ならではの芳醇な香りが特徴で、力強いキレがあり辛口になる傾向があります。
『里の曙 黒麹仕込』は減圧蒸留を行っていることで、どっしりとしすぎず、やや淡麗な口当たりに仕上がっているのが特徴です。黒麹ならではの芳醇な香りが魚料理をはじめ、いろいろな料理によく合います。
『里の曙 ゴールド』(43度)
2018年に「ロサンゼルス国際スピリッツコンペティション」の『BEST OF SHOCHU』を、2020年と2021年には「東京ウイスキー&スピリッツコンペティション」で2年連続の金賞を受賞した黒糖焼酎です。
減圧蒸留後に長期貯蔵をした『里の曙』の原酒と、常圧蒸留をした黒糖焼酎の原酒とを別の樫樽でそれぞれ熟成させてから、見事なバランスでブレンド。開発に10年を費やしたという、町田酒造渾身の黒糖焼酎です。
長期熟成させた『里の曙』と常圧蒸留の黒糖焼酎を樫樽で熟成させてからブレンドすることで、黒糖本来のコクや旨味が増し、樫樽の個性的な香りによってさらに引き出されています。
黒糖本来の旨味と樫樽の芳醇な香りを楽しむには、ロックや水割りで飲むのがおすすめです。
里の曙 ゴールド 18度
『里の曙 ゴールド』のアルコール濃度を18度に調整した、数量限定の黒糖焼酎です。
秋や冬にもオン・ザ・ロックで黒糖焼酎を楽しんでほしい、お鍋といっしょに黒糖焼酎を味わってほしい、そんなコンセプトで造られました。
アルコール濃度が18度なので口当たりはライトですが、黒糖の風味や樫樽の甘い香りはしっかりと感じられます。
ロックで楽しむ他、冷蔵庫で冷たく冷やしてストレートで飲んだり、ホットで飲んだりするのもおすすめです。
里の曙 原酒(43度)
『里の曙 ゴールド』とともに、2020年と2021年の「東京ウイスキー&スピリッツコンペティション」で2年連続の金賞を受賞しました。減圧蒸留して3年以上貯蔵・熟成した『里の曙』の原酒です。
減圧蒸留と3年という長期熟成を行っているため、約43度というアルコール濃度の高さを感じさせないほど口当たりがまろやかで、黒糖の芳醇な香りを楽しめます。
『里の曙 原酒』のコクと香りをじっくりと味わうには、ロックやお湯割りの他、冷凍庫でしっかりと冷やしてそのまま飲むパーシャルショットがおすすめです。
里の曙 白角(37度)
『里の曙 白角』は、『里の曙』のアルコール濃度を少し高めの37度に調整した黒糖焼酎です。
炭酸水やジュースなどで割って、黒糖焼酎カクテルとして楽しむのにおすすめ。海外でもカクテルベースとして人気があります。町田酒造が紹介しているカクテルのなかで、面白い飲み方が「カッパ割り」です。
焼酎にきゅうりを入れる飲み方を「カッパ割り」と言いますが、きゅうりのスライスを入れることで、メロンのようなさわやかな香りを楽しめます。水割りやソーダ割りにきゅうりを入れて試してみてください。
黒糖焼酎で造るカクテルのレシピは、こちらの記事でも紹介しています。
里の曙 18度
ブルーの瓶がいかにも涼し気な『里の曙 18度』 は、夏向けの数量限定商品です。18度という低めのアルコール度数でも、黒糖の香りやまろやかなコクをしっかりと味わえます。
軽快でスッキリとした口当たりのレギュラータイプの『里の曙』よりも、さらにスッキリと飲みやすいので、焼酎が少し苦手な人や黒糖焼酎初心者にも試してほしい黒糖焼酎です。
ロックで飲むのがいちばんのおすすめですが、冷蔵庫で冷たく冷やしてストレートで飲んでも良いでしょう。
里の曙 瑞祥(25度)
『里の曙』シリーズの黒糖焼酎は、減圧蒸留をしてスッキリと飲みやすい口当たりにしているのが特徴ですが、この『里の曙 瑞祥』に限っては、減圧蒸留ではなく常圧蒸留を施しています。
常圧蒸留を行うと、黒糖の風味をしっかりと感じられる黒糖焼酎になります。
『里の曙 瑞祥』は、レギュラータイプの『里の曙』と同様に、一般的な黒糖焼酎よりも多い量の黒糖を仕込んでいるので、黒糖本来のコクや深い香りをより一層楽しめます。
ロック、水割り、お湯割り、ソーダ割りなど、さまざまな飲み方で黒糖焼酎の深い味わいを楽しんでみてください。
まとめ:軽快な飲み口と飲みやすさが人気の黒糖焼酎『里の曙』
町田酒造の代表銘柄である『里の曙』は、黒糖焼酎業界のなかでいち早く減圧蒸留法を取り入れた革新的な黒糖焼酎です。スッキリと軽快な飲み口とほんのりとした甘さを味わえるのが特徴で、飲みやすいと定評があります。
これから黒糖焼酎を試してみたいと思っている人や、スッキリした口当たりのお酒が好きな人は、ぜひ一度試してみてください。