そんな疑問に答えます。
日本では濃口醤油が多く流通しているものの、地域によって薄口醤油や甘口醤油など様々な種類の醤油が売られています。日ごろ使っている醤油のメーカーは全国でどのくらいのシェアがあるのでしょうか。
この記事を読むと、上位15社のランキングがわかります。
目次
醤油メーカー大手6社ランキング
普段皆さんが使っている醤油のメーカーは国内でどのくらいのシェアがあるのでしょうか。まずは全体の一覧と、醤油メーカー大手6社のランキングを見ていきましょう。
醤油メーカー出荷量シェア一覧
日本醤油協会によると、2019年の日本国内にある醤油企業(工場)の数は1,141で、国内の醤油の出荷量は74万4263klでした。大手メーカー6社の出荷シェアは59.7%で、約6割を大手企業で占めています。
1位:キッコーマン
キッコーマンはシェア28.2%で、全体の1/4を占め堂々のランキング第1位です。海外で「キッコーマン」といえば醤油が出てくるほどの知名度ですから、日本でシェア1位なのは納得ですね。
キッコーマンはもともと8つの醤油蔵元が集まって作られた合同の会社です。大正6年(1917年)に千葉県野田市で創業しました。他の会社に比べると比較的歴史の浅いイメージですが、元になった蔵元は江戸時代初期から創業していた蔵もあり、やはり長い伝統に支えられてきたと言えるでしょう。
キッコーマンは大正時代の創業から100年以上、日本の醤油業界を引っ張ってきたリーダー的な存在として認められています。
2位:ヤマサ醤油
ヤマサはシェア11.8%で全体の1割を占めており、2位にランクインしています。
ヤマサのロゴの右上についている「上」の文字は「最上しょうゆ」の意味で、江戸時代に得た称号です。幕府のお墨付きをもらうほどおいしい醤油だったのですね。
ヤマサは天保2年(1645年)に千葉県銚子市で創業し、350年以上の長い歴史を持っています。キッコーマンが8つの蔵元の合同企業なのに対し、1つの蔵元だけでこれだけの規模の会社を維持していることを考えるとすごいことですね。
江戸時代に作っていたと言われる最上しょうゆが今もあったら、筆者も一度味わってみたいものです。
3位:正田醤油
正田醤油はシェア6.6%で、トップ3に見事にランクインしました。知名度は上位2社に比べ今一つですが、業務用醤油としての利用が多く、数多くの人が加工品として気づかずに食べています。
正田醤油は明治6年(1873年)に群馬県館林市で創業し、約150年の歴史を持つ醤油メーカーです。創業家正田家は上皇后美智子様の実家であることが知られています。
他のメーカーとの差別化のためにデザインに力を入れており、「おちょぼ口」シリーズは見た目のかわいらしさと使い勝手の良さから、平成27年に「グッドデザインぐんま優秀賞」を受賞しています。
4位:ヒゲタ醤油
ヒゲタ醤油はシェア5.1%で、ランキング4位です。昭和41年にキッコーマンと販売委託契約を結び、本来であればキッコーマングループの1社になります。ブランドの知名度の高さから、ヒゲタ醤油独立で統計を取られているようです。
ヒゲタ醤油は元和2年(1616年)に千葉県銚子市で創業し、400年以上の古い歴史を持つ老舗の醤油メーカーです。関ヶ原の戦いの16年後には創業していたとは、創業者の商売の勘にびっくりします。
ヒゲタのロゴには「田」の字の端に4本のヒゲがついており、これが「ヒゲタ」の名前の由来です。またロゴの左上に「上」の字がついていて、ヒゲタ醤油も江戸時代に「最上しょうゆ」の称号を得たおいしい醤油であったことがわかります。
5位:マルキン醤油
マルキン醤油はシェア4%で、ランキング5位になっています。マルキン醤油は合併や吸収を幾度か行い、平成13年から盛田株式会社により製造販売されるようになりました。
盛田株式会社は寛文5年(1666年)に愛知県知多郡で清酒の蔵元として創業し、その後味噌や醤油の製造を行うようになりました。
マルキン醤油の工場は香川県小豆島にあり、今でも307本(2019年2月現在)の木桶を使った伝統的な醤油仕込みが行われています。
木桶仕込みの天然醸造醤油は「マルキン 醤の郷 小豆島 丸大豆生しょうゆ」として販売されています。
5位:ヒガシマル醤油
ヒガシマル醤油もシェアは4%で、同率5位にランクインしました。「うすくち醤油と言えば」と言われるうすくち醤油最大手の醤油メーカーです。
こいくち醤油とうすくち醤油の特徴の違い等については以下の記事で解説をしていますので、ぜひ本記事と併せてご覧ください。
ヒガシマル醤油は天正年間(1580年頃)に兵庫県たつの市で創業した、440年もの長い歴史のある老舗中の老舗。文禄年間(1592~1596年)には宮中から菊屋の屋号を賜るなど、日本で最も歴史のある醤油蔵の1つです。
江戸幕府が生まれる前から醤油を作っていたなんて、びっくりしますね。
醤油メーカー準大手9社ランキング
大手6社の醤油メーカーのランキングを見てきました。みなさんのおうちで使っている醤油メーカーは入っていたでしょうか。引き続き準大手9社の醤油メーカーをランキング形式で見ていきましょう。
7位:イチビキ
イチビキは7位にランクイン。「名古屋の調味料メーカーと言えば」と東海地方ではおなじみの醤油メーカーです。赤みそや「赤から」鍋スーブで知っている人も多いでしょうが、イチビキの醤油も安定した人気があります。
イチビキは安永元年(1772年)に愛知県豊橋市で創業した、味噌や醤油などの調味料を製造するメーカーです。現在では本店は愛知県名古屋市に移転しています。
東海地方では溜(たまり)醤油が好まれ、溜醤油のシェアは全国では3%であるのに対し東海地方では15%です。イチビキの溜醤油は人気が高く、主力商品として扱われています。
8位:ワダカン
ワダカンはランキング8位になりました。東北・北海道地方ではかつてテレビCMも放送していた、東北最大の醤油メーカーです。
ワダカンは明治33年(1900年)に青森県十和田市で創業した、醤油や調味料のメーカーです。現在は名古屋市に本社を持つイズミックが経営権と生産設備を所有しています。
東北や北海道ではワダカンの知名度は高く、安定した人気のある会社です。八甲田連峰のふもとにある醤油工場では八甲田の清らかな水を使った醤油が製造されています。
9位:ヤマモリ
9位にはヤマモリがランクイン。タイとのつながりが強く、タイ国内で醤油やレトルト食品を製造販売するほか、タイから日本にレトルトのタイ料理を輸出しています。
ヤマモリは明治22年(1889年)に三重県桑名市で創業した、味噌、醤油やレトルト食品のメーカーです。現在ではレトルト食品の人気が高くなっていますが、醤油の販売にも力を入れており堅実な売り上げがあります。
10位:フンドーキン
フンドーキンが10位にランクインしました。大分県の二大醤油メーカーの1つで、九州ではメジャーな存在です。九州地方の醤油は甘い味の「甘口醤油」が定番になっています。甘党の人は一度甘口醤油を味見してみるといいかもしれませんね。
甘口醤油については、以下の記事で作り方やアレンジレシピ等を解説していますので、ぜひ本記事と併せてご覧ください。
フンドーキン醤油は文久元年(1861年)に大分県臼杵市で創業した、醤油・味噌のメーカーです。フンドーキンの社名は「分銅(ふんどう)」と、創業者の小手川金次郎の名前から「金」をとって、「分銅金(ふんどうきん)」としたのが由来です。
「分銅」とは、はかりで重さをはかる時に使った、金属の重りのことを言います。フンドーキンのロゴには分銅の形がデザインされているそうです。
11位:富士甚醤油
11位には富士甚醤油がランクインです。大分県の二大メーカーが仲良く10位と11位に並びました。やはり甘口醤油が一番の中心商品となっています。
富士甚醤油は明治16年(1883年)に大分県臼杵市で創業した、醤油・味噌などの調味料のメーカーです。大分県杵臼には臼杵川があったことから、原料の調達や製品の出荷に水運を使うことができたのが、杵臼市に大きなメーカーが複数ある理由です。
富士甚の名前は、元々「富士屋」として創業したものを、後に創業者の渡邉甚兵衛の名前を付けた「富士屋甚兵衛」としたのが由来です。
12位:マルシチ
マルシチがランキング12位になりました。大鰐・弘前地方ではメジャーで、マルシチ以外のメーカーの味噌や醤油は使わないという人がたくさんいます。
マルシチは津軽味噌醤油株式会社が製造しています。津軽味噌醤油は明治43年(1910年)に青森県大鰐町で創業した、味噌・醤油などの調味料のメーカーです。
日本で唯一の温泉熱を利用した「温泉醸造」という作り方で、味噌や醤油を作っています。温泉醸造とは味噌や醤油を発酵させるときに、温泉の熱を使って発酵が早く進む製法です。熱によって味や香りも増すそうです。
13位:サンビシ
ランキング13位はサンビシです。東海地方ではよく知られている醤油メーカーですが、全国での知名度は今ひとつかもしれません。
サンビシは明治29年(1896年)に愛知県豊川市で創業した、醤油やたれなどのメーカーです。現在はゼンショーの子会社となっています。
はま寿司のサイトによると、はま寿司に置かれている選べる5種類の醤油は、サンビシが製造したものだそうです。はま寿司もゼンショーの子会社ですので、なるほど納得ですね。
14位:マルテン
マルテンは14位のランキングになりました。関西では有名な醤油メーカーですが、うすくち醤油にこだわらず様々な種類の醤油を製造販売しています。
マルテンは寛政7年(1795年)に兵庫県たつの市で創業した、醤油、つゆなどの調味料のメーカーです。めんつゆや刺身専用の醤油などを他社に先駆けて開発するなど、伝統を重んじる醤油メーカーの中では柔軟な発想を持っています。
15位:キノエネ醤油
ランキング15位はキノエネ醤油になりました。千葉県野田市の醤油蔵がほとんどがキッコーマンとして集まった後も、唯一単独で営業してきたメーカーです。
キノエネ醤油は天保元年(1830年)に千葉県野田市で創業した、醤油やたれを製造するメーカーです。キノエネ醤油の「しろしょうゆ」は、出荷量・販売シェア両方で国内のトップクラスになっています。
キノエネのロゴは、旧暦で使われる十干(じっかん)の最初の「きのえ」と、十二支の最初の「子(ね)」を組み合わせ、「最初の」とか「まれである」の意味があります。
まとめ~ランキング上位の醤油メーカーとの二極化が進む日本
醤油のメーカーは国内では千社以上もあり、上位15社で全体の3/4を占めています。毎年醤油のメーカーは少しずつ数を減らしており、いつも使っているおいしい醤油がある日お店で売られなくなることも珍しくなくなりました。
古来から日本人の心の味としてなじんでいる醤油、たまにはいつもの味だけでなく小さな醤油蔵で作られたおいしい醤油を味わってみませんか。