言われてみれば、確かにそうですよね?
どちらも味噌を使った汁物で、具材も似たようなものを使います。味もそれほど変わらないような気もするし、全然違うような気もするし…。
味噌鍋と味噌汁の違いとはいったいどこにあるのでしょうか?作り方や食べ方の違いなど、いろいろな角度から探ってみましょう!
目次
味噌鍋と味噌汁の違いをイメージから検証してみた
味噌鍋と味噌汁はどう違う?と聞かれても、すぐには答えられないですよね。世間一般の人は、味噌鍋と味噌汁の違いにどのようなイメージを持っているのでしょうか?
「味噌鍋」と「味噌汁」の違いを疑問に思っている人は多い
インターネットやSNSで検索してみると、「味噌鍋」と「味噌汁」の違いがよくわからないと思っている人は多いようです。
この他にも、以下のような意見が多く見られました。
・味噌鍋を作っていたつもりなのに、完成したら大量の具だくさん味噌汁になった。
・味噌汁と味噌鍋と豚汁の違いが未だにわからない。
・味噌鍋と味噌汁の違いってなんだ?具か?
・味噌汁と鍋の違いはよくわからないけど、自分が鍋と思ったら鍋。気持ちの問題。
確かに、味噌鍋と味噌汁の違いはわかりづらいですよね。
「味噌鍋と味噌汁の違い」世間のイメージは?
味噌鍋と味噌汁の違いがよくわからないと思っている人が多い一方で、自分なりの区別を付けている人も多いようです。インターネットやSNSで調べてみたところ、次のような意見が見られました。
味噌鍋 | 味噌汁 |
---|---|
沸騰させる(煮込む) | 沸騰させない |
味噌の他に醤油やみりんなど複数の調味料を入れる | 味付けが味噌のみ |
白菜や春菊などの葉物野菜が中心 | 芋や大根などの根菜が中心 |
わかめを入れない | わかめを入れる |
鍋のまま食べる | お椀に盛ってある |
大勢で取り分けて食べる | 一人分ずつ盛ってある |
具が大きい | 具が小さい |
具が豪華 | 具が簡素 |
具がメイン(主に具を食べる) | 汁がメイン(主に汁を飲む) |
具を食べるから味は濃いめ | 汁を飲むから味は薄め |
朝ごはんに出てこない | 朝ごはんに出てくる |
お酒のアテにならない | お酒のアテになる |
世間一般の人のイメージを見てみると、どの意見も確かに一理ある気がしますよね。これらの意見のなかから特に気になる点をいくつか検証してみましょう。
「沸騰させる」か「沸騰させないか」の違い
味噌鍋は、基本的に味噌味のスープで具材を煮込んで作ります。一方、味噌汁はだしで具材を煮てから、最後に味噌を入れて仕上げるのが基本の作り方です。
また、味噌汁には「沸騰させてはいけない」という鉄則があります。味噌を入れて後に沸騰させてしまうと、せっかくの味噌の風味が飛んでしまうからです。
このことから考えても、味噌鍋と味噌汁の違いは、沸騰させるかさせないかの違い、というのは納得できますよね。
ただし、例外もあります。山形県の郷土料理である「芋煮鍋」。このうち庄内地方では味噌味の芋煮鍋が食べられていますが、味噌汁と同じように味噌は最後に入れて沸騰させないで作るようです。
味付けが「味噌のみ」か「味噌+α」の違い
味噌汁の味付けは、基本的にかつおや昆布、いりこなどで取っただしに味噌を入れるだけですよね。
一方、味噌鍋のレシピをいろいろと見てみると、ベースとなるスープは魚介類から取っただしもしくは鶏ガラスープを使い、調味料は味噌の他にしょうゆやみりんなどを入れて作るものが多いようです。
この理由も、作り方の違いにありそうですね。味噌鍋は、味噌味のスープで生の肉や肉、生の野菜などを煮込みます。生の野菜からは水分が出るため、スープはある程度濃くしておく必要がありますよね。
しかし、味噌をたくさん入れると塩辛くなってしまいます。そこで、しょうゆやみりんなど味噌以外の調味料も入れることで、味のバランスをより良くしていると考えられます。
味噌汁と味噌鍋、定義に違いはあるの?
世間一般の人が持つ味噌鍋と味噌汁の違いのイメージはどこまで正しいのか、味噌鍋と味噌汁の定義を調べてみました。
しかし、味噌鍋と味噌汁に調理法の正式な定義があるわけではないようです。そこで、辞書で両者の言葉の意味を比較してみましょう。
「味噌汁」の意味は?
日本の代表的な国語辞典で「味噌汁」を調べてみると、以下のように書かれています。
・広辞苑:野菜・豆腐などを実として、出し汁に味噌を溶かしたもの。
・大辞林:だし汁に味噌を溶かし込んで味をつけた汁。野菜・豆腐などの実を入れて作る。
・大辞泉:野菜・豆腐・海藻・貝などを実にして、だし汁に味噌を溶かした汁物。
つまり、味噌汁はあくまで「汁物」なのですよね。これらの意味合いからすると、世間一般の人が持っていた「汁がメイン」、「具が簡素」、「具が小さい」などのイメージは、あながち間違ってはいないと言えそうです。
また、主に汁を飲む料理なので、「味噌鍋よりも味が薄め」というイメージも理にかなっていますよね。
また、「だし汁」は、一般的にはカツオ、サバ、昆布、いりこなどのだしを使うことが多いですが、きのこや野菜から出る旨味を利用することもあるようです。
「味噌鍋」の意味は?
一方、「味噌鍋」を調べてみましたが、「味噌鍋」という言葉は辞書に載っていませんでした。そこで、「鍋料理」という言葉で調べてみると、以下のように定義されていました。
・広辞苑:鍋のまま食卓の上にのせ、煮ながら食べる料理。主に冬の季節料理。
・大辞林:食卓上で,野菜・肉・魚介類を鍋で煮ながら食べる料理。
・大辞泉:鍋を食卓に出し、材料を煮ながら食べる料理。
これらを見ると、「食卓上」と「煮ながら食べる」ということが共通していますよね。これらを踏まえると、「味噌鍋」は。食卓上で鍋のまま煮ながら食べる味噌味の料理であると定義付けられそうです。
つまり、先程の味噌鍋のイメージにあった、「大勢で取り分けて食べる」や、「鍋のまま食べる」という意見は、間違っていないということになりますよね。
また、味噌汁が「汁物」であるのに対し、味噌鍋は具材をメインに食べる料理であると言えます。
【結論】味噌鍋と味噌汁の違いとは?!
これまで、検証してきたことを踏まえ、味噌鍋と味噌汁の違いをまとめてみましょう。
味噌鍋と味噌汁のボーダーライン
味噌鍋と味噌汁には調理上の区別は特にないものの、イメージや言葉の意味を探った限りでは、基本的な違いとして、以下のように解釈できるのではないでしょうか。
作り方:魚介類などのだしで具材を煮込み、最後に味噌を入れる。基本的な味付けは味噌のみ。
料理のスタイル:あくまで一汁三菜の「汁」に該当する「汁物」の位置づけ。
提供の仕方:一人ずつお椀に盛って提供する。
作り方:味噌味の魚介類のだしや鶏ガラスープで肉・魚、野菜などを煮込む。味噌以外の調味料も使用する。
料理のスタイル:「汁物」ではなく具材を食べるのがメイン。
提供の仕方:鍋のまま食卓に出し、具材を煮ながら食べる。
ただし、煮ながらではなくでき上がった鍋を食べるパターンや、具材をしっかりと食べる具だくさん味噌汁があるように、いろいろな応用パターンがあることがわかりますよね。
味噌鍋の味付けが味噌汁になってしまう時の対処法
「味噌鍋を作ったのに、単なる具だくさん味噌汁との違いがわからなかった」
という場合は、味噌だけでなく、しょうゆやみりんなどの他の調味料で味を調整すると、味噌鍋らしくなるかもしれません。また、ごま、豆板醤、豆乳など味噌味に変化を付ける食材を入れるのもおすすめです。
逆に、味噌汁が味噌鍋みたいになってしまう、という場合は、味噌を入れてから煮立たせないようにすると、味噌の風味が損なわれずに、味噌汁らしくなるかもしれませんね。
ただ、「とり野菜みそ」(石川県ではどこの家庭にも常備されている?くらいメジャー商品です!)のように、味噌汁にも味噌鍋にも使える調味味噌もありますので、これらの違いは、それほど厳格に捉える必要はないのかもしれません。
※「とり野菜みそ」は鍋、味噌汁、炒め物と万能に使えておいしいので、食べたことのない人はぜひ一度お試しください。個人的にはピリ辛味もおすすめです。
まとめ:味噌鍋と味噌汁の違い!最終的には気持ちの問題?!
味噌鍋と味噌汁の違いをいろいろな角度から検証してみて、何となく結論が出ましたが、実際には、いろいろなパターンが存在しますよね。
「味噌汁にはわかめを入れる」、「鍋は具材が豪華」、「鍋は酒のアテになる」という意見も間違いはないように思えます。つまり、最終的には気持ちの問題なのかもしれませんね。
味噌汁と味噌鍋の違いには、あまりこだわりすぎずに、楽しくおいしく食べられれば、それがいちばんですよね。