そんな疑問にお答えします。
筆者は阪神淡路大震災と東日本大震災の両方を経験しました。災害に備えておくことの大切さを実感しており、非常食とローリングストックによる日常食品とのセットでしっかりと非常食の備蓄をし、工夫をして収納しています。
本記事を読めば、非常食の収納方法や保管場所、収納に便利なケースやボックスなどが分かります。
目次
非常食の収納場所と収納時の注意点
非常食の収納に最適な場所
非常食の最適な収納場所は、"温度変化が少なく風通しの良い涼しい場所"です。
非常食の保管場所として適さないのは、高温多湿になる場所、直射日光の当たる場所、寒暖差の激しい場所です。こういった場所は、食品が劣化するおそれがありますので、おすすめできません。
災害時は、厳しい環境下で体力が落ちている可能性もあります。傷んだ非常食を食べて、健康を害するということは絶対に避けなければなりません。非常食は、食品の保管に向いている場所に収納しておきましょう。
非常食は分散して収納しよう
非常食は分散収納がおすすめです。非常食を1つの場所にまとめて収納するのではなく、数カ所の場所に分けて保管します。非常食の分散収納がおすすめの理由は、2つあります。
非常食を分散収納する理由 その1
非常食を1ヵ所に保管すると災害時に取れなくなったり、水害で食べられなくなったりする危険性があります。
災害時は、棚が倒れて非常食が下敷きになったり、部屋やクローゼットの扉がふさがれて収納した場所に行き着けなくなったり、冠水して非常食が水につかって食べられなくなったりする可能性があります。
このように、非常食を1つの場所にまとめて収納していると、自宅に部分的に被害があった場合でも、すべての非常食が使えなくなってしまうおそれがあります。
保管場所を分けておけば、どこか1ヵ所がダメになっても、他の場所に収納していた非常食が使えるのです。
非常食を分散収納する理由 その2
非常食はかなりの量となるため、1ヵ所に保管する場合は大きな収納スペースが必要となります。非常食は、最低限3日分、できれば1週間程度備蓄しておくことが推奨されています。
水だけでも1人1日3リットル(飲料用1リットル+調理用2リットル)必要ですので、1週間分だと21リットルになります。水以外の食料も合わせると1人でも相当な量です。
※詳しくは以下の記事で解説していますので、併せてご覧ください。
家族が多いと人数分のストックが必要となるので、それほどまでに大量の非常食を1つの場所に収納することは難しいでしょう。非常食は場所を分散して収納するのが基本です。
具体的な非常食の収納場所を検討しよう!
非常食を分散して収納するために、具体的にどのような場所に保管できるかみていきましょう。
【自宅内】キッチン
ローリングストックによって備蓄している日常食品(普段食べている食品で非常食にもなるもの)は、キッチンに収納しましょう。
毎日の生活で使うものですので、使用する場所に保管しておくと便利で、備蓄を効率よく回転させることができます。
※ローリングストックのやり方などについては以下の記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
ただ、大きな災害がおきるとキッチンは危険な場所になりがちです。
食器棚が倒れて中のものが床にちらばったりして、取り出せなくなってしまうかもしれないので、キッチンの中でも数カ所に分けて収納しておきましょう。
冷蔵庫内の食品も、災害時には非常食として活躍します。とくに冷凍庫には日頃からスペースの7割〜9割を目安にたくさん詰めておくことをおすすめします。
たくさん詰まっていれば、停電時には凍っている食品自体が保冷剤代わりになって、溶けにくくなるからです。
解凍してそのまま食べられる冷凍食品も多いので、そういった非常食になりやすい冷凍食品を常備しておくのもよいでしょう。
【自宅内】リビング(押入れ/クローゼット/本棚)
ローリングストックしているお菓子などは、リビングで食べることが多いので、カゴなどに入れてリビングで収納しておきます。
長期保存できる災害用非常食は、普段は使用しないので、押入れやクローゼットに収納しても大丈夫です。あまり奥の方だと災害時にすぐに取り出せないので、取り出しやすい手前の場所に保管しましょう。
また、奥行きの浅い本棚は、水や缶詰、レトルト食品などの収納に便利です。水や缶詰などの重いものは、下の方に入れて重しにしてください。
【自宅内】寝室、子ども部屋
災害の際は、いつどこでどんな状況で閉じ込められてしまうか分かりません。寝室や子ども部屋などは、自宅にいる中では過ごす時間が比較的長いですよね。
発災時に、閉じ込められてしまう可能性も高いといえます。寝室や子ども部屋などの各部屋にも非常食を分散収納しておくのが安全でしょう。
最近では、子どもも食べやすい非常食用のお菓子も充実しています。以下の記事では、「非常食用のお菓子」に焦点を絞って解説をしていますので、ご興味のある方は本記事と併せてご覧ください。
https://kakakunara.com/rakusyoku/hijousyoku-okashi/
【自宅内】玄関
玄関の棚やすきまも、非常食の収納場所になります。玄関に保管しておけば、外から自宅に戻ったときにもし建物が半壊していても、取り出すことができるかもしれません。
非常食や日用品を入れた非常持ち出し袋も、玄関に収納するのがよいでしょう。非常持ち出し袋は、災害時にすぐに持ち出せる場所に置くのが基本です。逃げる際に通る玄関や廊下に保管しておけば、スムーズに持ち出せます。
【自宅の外】車内
自宅が全壊してしまった場合などに備えて、車にも非常食を保管しておけたら…と思いますよね。
車は避難する際の移動にも使えますし、いざというときの避難場所にもなります。ですので、車に非常食を収納しておけばより安心という気持ちも分かります。
しかし、非常食の保管場所としては、車は基本的にNGです。前述の『非常食の保管場所として適さない場所』に当てはまるからです。
車は寒暖差が激しく、夏場は非常に高温となります。直射日光の当たる場所に駐車されていることもあるでしょう。残念ながら、食品の保管には不向きなのです。
車に分散収納する場合は、食品は避け、温度の影響が少ない非常用の日用品などを保管するのがよいでしょう。
そんな方には、内野家の『uchipac(ウチパク)』というお惣菜シリーズをご紹介します。ウチパクは、調理工程において食品添加物、保存料、着色料を使用していないので安心安全です。
なおかつ、高温加圧殺菌製法により雑菌、細菌がゼロなので、常温で1年以上の長期保存が可能という優れものです。
フジテレビの『めざましテレビ』などでも取り上げられたそうです。内野家の公式サイトには、「開封しない限り熱で腐敗することはありません。夏場40度の車内でも腐敗することはありません。※但し、熱によって味が変わる可能性はあります。」と書かれています。
基本的には車内は非常食の保管場所としておすすめしませんが、車内に非常食を収納する場合には、上記のような熱などに強いものを選んで保管するようにしてください。
非常食収納方法のポイント
ポイント1「目立つところに賞味期限を書く」
非常食のストックスペースを確保したら、早速非常食を収納していきましょう。非常食の収納方法の第1ポイントは、目立つところに賞味期限を書くことです。
賞味期限は表示が小さく見落としがちです。非常食を収納する際は、賞味期限を目につきやすい場所に書き直しておきましょう。
ひと目で期限が分かるよう、見やすい場所に油性ペンで日付を大きく記入します。テープに書いて貼るのもよいでしょう。保管場所にテープと油性ペンを置いておくと、その場で賞味期限を書いて収納できるので便利です。
ポイント2「ストック場所に入れる順番を決める」
非常食収納方法の第2のポイントは、ストック場所に入れる順番を決めることです。収納するケースや棚などのストック場所に入れていく順番を決めます。
非常食の賞味期限切れを防ぐために、賞味期限の古いものから新しいものへと順番に並ぶようにするのです。
古い順に、手前から奥、上から下、左から右など自分の使いやすい流れで順番を決めます。賞味期限の古いものから使い、使った分は補充をしましょう。
補充の際は、また賞味期限の古いものから新しいものへと順番に並ぶよう、自分の決めた流れで非常食を収納するようにします。
ポイント3「冷蔵庫の中を整理する」
前に述べたように、冷蔵庫の中の食品も災害時は非常食になります。日頃から冷蔵庫を整理をして、何が入っているかや、賞味期限を把握しておきましょう。
災害時で停電になった際、ドアを頻繁にあけると中の冷気が失われてしまいます。普段から冷蔵庫を整理し、食品を取り出しやすく収納しておけば、何度もドアを開け閉めしなくてすみ、停電対策にもなります。
冷蔵庫も非常食のストック場所という意識を持って生活することが大切です。
非常食の収納に適したケース、ボックスは?
非常食は基本的に分散収納するため、非常食用にケースやボックスを新たに購入する必要はないでしょう。
各保管場所の空いている引き出しや棚の数段を使って収納したり、手持ちのケースやボックスを活用することをおすすめします。
ですが、そのまま持ち出して車に詰めるようなボックスに一定量入れておきたいとか、収納で大人気の無印を非常食のストックにも使いたいといったご要望もあるかと思います。
そこで、スタイリッシュで可愛らしい無印良品のケース/ボックスの中からオススメ商品を2点紹介します。
無印良品「PPストッカーキャスター付」
キッチンや洗濯機横の収納に人気のPPストッカーですが、備蓄用品の保存にも向いているようです。
4段のものと、一番下のケースが深型になっている3段のものがあり、サイズは幅18×奥行40×高さ83センチとなっています。追加用ストッカーの組み合わせで高さ122センチまで積み重ね可能です。
中身が程よく見えるので、何が入っているか把握しやすいのがよいですね。ローリングストックにもぴったりです。心地よく普段の生活をしながら、災害にも備えられます。
無印良品「ポリプロピレン頑丈収納ボックス」
非常食や防災用品をこちらのボックスにおしゃれに収納しているという方も、もうすでにいるようです。
特大(約幅78×奥行39×高さ37センチ)、大(約幅60.5×奥行39×高さ37センチ)、小(幅40.5×奥行39×高さ37センチ)の3つの大きさがあります。
簡易的な腰掛けにもなるらしく、名前の通り頑丈そうです。
無印良品の『備蓄用品の保存』ページにもやはり載っていました…が、「もしものときの必需品を車に積んで備えておく」となっていて、ボックスによる備えの事例には、日用品ばかりで、非常食などの食品は全く入っていませんでした。
さらに、事例の下の方をよく見ると、小さい字で『※ポリプロピレン頑丈収納ボックス内は、食品の保管は避けてください』と書かれています。
ボックスを車内に積む場合は、食品保管に適さないということは分かりますが、室内で保管する場合も食品NGなのでしょうか!?
それでは非常食の収納に使用できなくなってしまう…ということで、無印良品(株式会社良品計画)さんに電話をして確認しました。
…とのことでした。
ですので、お米を袋から出して直接ボックスに入れるといったような食品が直接触れることは避けなければいけませんが、箱やパックに入った非常食を入れたり、缶詰をストックすることは問題ないとのことです。
ただ、密封状態に近くなる場合もあるので、食品を入れる場合は涼しい場所で保管をするなど気をつけてほしいとのことでした。
非常食の収納に適した場所で、正しい使い方をすれば安心ですね。頑丈収納ボックスは、簡易的なベンチやテーブル代わりにもなるので、災害時の道具としても役に立ちそうです。
まとめ:非常食はポイントを押さえて分散収納しよう!
非常食は分散して収納するのが基本です。風通しの良い涼しい場所に、分けて保管しましょう。
賞味期限がきちんと把握でき、取り出しやすいように収納しておくことが大切です。引き出しや棚、ケースやボックスなどを利用して、自分や家族が分かりやすいように上手に非常食を収納していきましょう。
参考文献
・島本美由紀(著)『もしもに備える!おうち備蓄と防災のアイデア帖』発行元/株式会社パイ インターナショナル
・今泉マユ子(著)『防災教室 災害食がわかる本』発行所/株式会社理論社